個人極小菜園
窓際の机の上に菜の花が咲いた。仏様に差し上げよう。お花って買ったらけっこう高いんだ。高いだけじゃなくて、すぐしおれてしまうから情けない。
「私が育てた菜の花でございます。無農薬無化学肥料で育てました。安心してお召し上がり下さいませ。チン!」
「仏様はお召し上がらないから農薬は関係ない?いやいや、やっぱり自然栽培のほうが気持ちがいいのよね。私たちもこの手作りの菜の花を今朝、いただきます」
仏前でいろいろおしゃべりをしながらお祈りをする。
農薬、化学肥料、遺伝子操作、環境ホルモン、添加物、紫外線の浴び過ぎ、水や空気の汚染・ダイオキシンも怖いし、オゾン層も気になる。そればかりか電磁波などという目に見えない怪物が、びゅんびゅん飛び交っている。どうしたらいいんだろう。こんなひどい環境のなかで暮らすには余程の知恵と努力が必要である。こうなったら安全なものは自分で作るしかない。そう思って始めたのが、
「小さなお百姓さんごっこ」なのである。
野菜くらいは自分で作りたい、と思っても畑はないし、作りかたもわからない。こんなときは、まず身近な所から始めるのが一番だ。
大根を買うときなど、葉付きを求めるのは当たり前のこと。もし葉付きがなければ、茎のあるものを買う。その茎が大事なのだ。大根は葉がついているから高いということはなく、いわば茎はついていてもいなくても値段は同じ。だから茎はタダということである。
葉っぱならば、すぐにその日の一品になるが、五センチや十センチの茎ではどうしようもない。
そこで、もったいないが大根の頭を一センチくらい付けて切り収る。カップか空きビンに水を入れてさしておく。水が腐らないように時々水を替えてやると、どんどん大きくなるんだ。
窓際に並べておくと、みどりの大根葉が繁る。そのへんで摘んでみそ汁の浮かしにしたり、そのままむしゃむしゃ食べてもいい。
もう少し大きくなると、細かく切って塩もみして、かつお節や妙りごまを摺ったのをまぶして、お漬物代わりにいただきこともできる。
ぶして、お漬け物代わりにいただくこともできる。
もっと成長すれぱ、さっと湯に通して、ごま和えにしたり、油妙めにしたり、料理法はいくらでも考えられる。お介当のなかのみどりが足りないとき、しばしばこの白家製農作物が役に立つてくれる。
これぞO円の食品ではないだろうか。苗を買うこともないのだから、まったくタダもタダ大タダってことになる。
しかも超新鮮!柔らかくて丈味!ビタミンたっぷり!お通じ、美容にも最高、そのうえ、仏様のお花まで咲かしてくれるんだから、止められない。
それに、ものを育てるって楽しいことなんだ。
大根ばかりではない、にんじんの芽だって少しだけれど出てくる。とうみょうの根っこも、かいわれの根も、お汁の浮かしくらいにはなってくれる。山いもの細くて食べられないところなどは、土の中に埋めておくと、秋にはむかごが食べられるんだからうれしい。ゴミも減るから、こんなにいいことはない。
一切手のかからぬ百姓をみんなやろうよ。 |