1洗剤開発

環境保全、環境改善で明け暮れしてまいりまして十数年が過ぎましたが、小生が、その環境(特に洗剤)に目覚めた経緯を借越ながら述べさせていただきます。
戦事中疎開をしていました田舎の一軒家が懐かしく、紹和47年に姉と妹を連れて見に行きました。そこは私が小2から高1までを過ごした、今でも最高の思い出の場所で、家のすぐ裏に川幅約1.5mの小川が流れており、それはきれいな水で魚やしじみを取ったり、夏には堰き止めて泳いだりもしていました。
私には、昔暮らした家や庭はほとんど興味がなく、裏の川へすっとんで行きました。ところが、その川がヘドロの川に変わっていました。これには大変なショックを受けました。
理由は申すまでもなく合成洗剤でした。昭和37年に開発された合成洗剤は爆発的な勢いで普及し、10年間に日本の河川は、大変な様変わりをしてしまったのです。このようなぺ一スで汚染が進行すれば、取り返しのつかないことになる、そういう思いを暫く引きずっていたのですが、そのうちに、いてもたってもおれなくなり、自分で植物性の地球環境に優しい洗剤作りに立ち上がりました(最近、厚生省が川の汚染の83.7%は洗剤であると発表)。
まずは日本、そしてアメリカ、ヨ」ロッパなど世界中から植物性洗剤といわれているものを集めました。どれも「植物から生まれた」とか、「手に優しい」とか、そういうコピーが書かれているものばかり。かなりの数になり事務所で足の踏み場もないくらいになりました。
次は本物へ偽物かを見分ける作業です。
洗剤というのは、界面活性剤と水からできています。だから水が蒸発すれば、界面活性剤が残ります。それが石油系の合成洗剤であれば、真っ黒のタールを精製しているはずだから、水が蒸発したときにはタールが出てくる、という訳です。すべての洗剤」をスプーンに入れて、下からライターの火であぶりました。
その結果、ほとんどの洗剤は合成洗剤であることが分かりました。ラベルには『植物性』と書かれた紛らわしい表現も全く野放しだったのです。その中で、たったの6品目だけが本物でした。そのうちでアメリカ製の洗剤で松の油を原料としたものが、一番高い洗浄力だったのです。しかし、それにはリンが含まれていることが分かり、原料の輸入をあきらめ、自分で作ろうと決意し、松の原料を探すうちに、ある上場企業が洗剤にふさわしいブラジルで自家栽培されたエリオッティ松から抽出したものを生産していることが分かり、それを供給してもらうことになりました。
エリオッテイ松は日本の松に比べて5倍も成長が早く、しかも280註uという広大な土地で栽培されているため、自然破壊もなく安定供給されています。家庭用台所洗剤、洗濯洗剤も『地球家族』というブランドで全国的に販売させていただいており、その他のエコ商品も含めて、今では135品目になりました。
2環境の現状

悠久のときを刻んできた大自然は、約35億年前に地球に生命が誕生してから、生命の進化とともに時聞をかけて、大気の組成を変えて酸素を作り出し、大地に養分を与えて作られてきました。陸上生物もそうした環境の変化の中で約6億年前に誕生したのです。今、その大自然が人問の営みによって破壊されつつあります。
人間は生きていくために自然と深く関わらなければなりません。白然の中から食べ物を得ることをはじめ、モノを生産するにも、自然の中にある原料を得て、それを加工するエネルギー源も得てきました。
樹木は身近な原料であり、古代文明のいくつかは周囲の樹木を切りつくして、砂漠に埋もれていきました。次にエネルギー源として火力の強い石炭が使われはじめ、18世紀に産業革命が起こると使用量が膨大なものとなり、さらに20世紀に入ると石油が登場し、エネルギー源だけではなく、石油化学工場の原料として無数の化学物質が作られはじめました。産業の発達とともに、工場の排煙によって汚染された大気から煤煙や酸性雨が降りそそぎ、工場廃水から生じた有機水銀などが、人間をはじめとする生物のからだを犯すようになりました。また人体に無害といわれていた化学物質のフロンはオゾン層に穴をあけ、生命に有害な紫外線が地上に届くようなことを招いています。
生存環境が脅かされています。と同時に化学物質は食品や生活も変えてしまいました。農業で使われる化学肥料や殺虫剤は生産性を一時的にあげる威力を発揮すると同時に、土壌を蝕み、農作物を危険なものに変えてしまいました。また、人問は食べ物をいつでも食べられるように保存することや、おいしく食べることに永年の叡知を傾けてきました。燥製、塩漬け、味噌や醤油などがそうです・今は短期問に大量に作るために防腐剤や防カビ剤、着色剤などの食晶添加物があらゆる食品に使用されています。
人聞は外からの汚染だけでなく、食べるというもっとも基本的な行為によって、内部からも汚染されてきています。
さらに、日常生活を見渡せば、食器をはじめとするプラスチック製品があふれ、住居にも新建材や接着剤が使われています。燃えるときに、異様な臭いを発散する新建材に囲まれた暮らしは安全であろうはずがありません。
いろいろな化学物質が、新たな反応を起こし、複合汚染を招くと考えられています。
北欧のスエーデンでは、洗剤についての問題提起がなされてから、3年問で75%が植物性の洗剤に変わったそうです。日本では、関心はかなり高まって来ておりますが、まだまだで『総論賛成、各論垂れ流し』の域を出ていません。我々一人一人が「誰かが、いつか、どこかで」ではなく、「自分が、今、ここで」という意識をまず持つことが大切と考えます。
肉眼では見えないバクテリア類は別にして、地球上には、植物・動物合わせて約200万種の生物が生存しているそうです。5年前には1年問にそのうちの約1万種が人類に'よって絶滅に追いやられ、最近の1年間には、約4万種が滅亡したといわれています。
化学物質がすべての生命体を脅かす複合汚染の実態を地球規模で、全世界のすべての人々が認識し、行動するときが来たのではないでしょうか、手遅れにならないうちに……。
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